怨返し─赦されない私の罪─
そう言っても応答はない。
来希は扉を開こうとしても、やはりビクともしなく、ため息を吐きながら窓の方へ向かった。
窓は小さいが人一人は通れそうなくらいの大きさ、来希は通れないような体格ではなかった。
扉が閉まったことにより、倉庫内は更に薄暗くなったので、距離は短いものの慎重に移動した。
外の明かりが微かに見える窓の目の前に立ち、位置が少し高めにあるので背伸びをして窓のクレセント錠に手をかけた。
「ん...なんだこれ....全然開かねぇ...」
クレセント錠は全くビクともしなかった。
何か引っかかっているのかと思い、薄く見えるすぐ隣にあった跳び箱をボール入れに足を乗せて見てみるが、何の異常もない。
少し錆が見える程度で、そこまでの固さにはなるはずも無い。
来希は疑問を抱きつつも両手を使って全体重を乗せて開けようとするが、全く動く気配も感じられない。
「マジでどうなってんだよ....どんだけ固いんだよこいつ...まるで元々動かせない物みたいだ....
ちっ、しょうがねぇ。ぶっ壊すしかねぇか。何かあったっけ?....いたっ!!」
突然頭に針が刺さったかのような鋭い痛みを感じた。
咄嗟にその部分を手で覆うが、目立った外傷もなかった。振り向くが、そこはさっき開けようとした窓、コンクリートの壁には画鋲のような突起物は見られなかった。