怨返し─赦されない私の罪─
「それは...」
目が泳いで、視線を外した依奈に静華は更に近づき、顔を両手で持って自分の正面へ向けさせた。
「あなたしにしか出来ないことなの。章太君に恨みを作ってしまった責任はあなたがとるのよ。」
殆ど初対面なのに頬を叩かれ説教をされる。「私の何がわかるのか」と言ってもおかしくない状況だが、依奈の中では別のことを考えていた。
章ちゃんに....優しい章ちゃんに恨みを作っちゃった責任...か....
依奈は静華の言葉が心の中に大きく響いていた。自分のやるべき事は罰を受けることではなく、償い。そうだと依奈は確信した。
「....静華...うん、ごめん。私、頑張ってみるよ。生きて、罪を償う。その最初の償いが、章ちゃんを止めること。」
「分かってくれて嬉しいわ。じゃあ早速お互いの親密度を高めるためにベッ」
「や、やめてよ!なんでこんな雰囲気でそんな事言えるかな!」
依奈は静華から離れ、何故か胸元を隠した。静華は不思議そうに見つめ、首を傾げた。
「何故って...そう思ったから口にしただけなんだけど....」
「静華...あなたって周りに空気読めないって言われない?」
数秒の沈黙が訪れ、静華はスっと立ち上がってドアの方へと歩いていった。