怨返し─赦されない私の罪─


「それは...」


目が泳いで、視線を外した依奈に静華は更に近づき、顔を両手で持って自分の正面へ向けさせた。


「あなたしにしか出来ないことなの。章太君に恨みを作ってしまった責任はあなたがとるのよ。」


殆ど初対面なのに頬を叩かれ説教をされる。「私の何がわかるのか」と言ってもおかしくない状況だが、依奈の中では別のことを考えていた。


章ちゃんに....優しい章ちゃんに恨みを作っちゃった責任...か....


依奈は静華の言葉が心の中に大きく響いていた。自分のやるべき事は罰を受けることではなく、償い。そうだと依奈は確信した。


「....静華...うん、ごめん。私、頑張ってみるよ。生きて、罪を償う。その最初の償いが、章ちゃんを止めること。」



「分かってくれて嬉しいわ。じゃあ早速お互いの親密度を高めるためにベッ」


「や、やめてよ!なんでこんな雰囲気でそんな事言えるかな!」


依奈は静華から離れ、何故か胸元を隠した。静華は不思議そうに見つめ、首を傾げた。


「何故って...そう思ったから口にしただけなんだけど....」


「静華...あなたって周りに空気読めないって言われない?」


数秒の沈黙が訪れ、静華はスっと立ち上がってドアの方へと歩いていった。
< 156 / 313 >

この作品をシェア

pagetop