怨返し─赦されない私の罪─
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川の流れる音が良く聞こえる。
後ろではライトを照らしながら車が高速で走行している。川の波より大きいガソリン音は何故か耳に通らなく、暗闇で見えるはずもない川を清都は橋の上からぼんやりと眺めていた、
夜風が肌に触れ、両手で腕をさすり肌寒く感じていたが、清都はその場から離れようとしなかった。
暗闇に気持ちが吸い込まれ、まるで虜になっているかのように頑なにその場にいた。
清都は恐怖に支配されていた。来希の死を目の当たりにし、殺された理由を想像するのに時間はかからなかった。
そして次のターゲットは京吾か自分かという事を想定するのも簡単な話だ。
右手に付けていた腕時計が音を鳴らした。
一応念のためにセットしていたもので、時計の時刻を見ると十時過ぎていた。清都の家内は人情溢れ、ルール違反にはとても厳しい目をしていた。そして、いじめなんてもってのほか。絶対にやってはいけないと清都は子供の頃から口酸っぱく言われていた。
だが、清都にとって不服なのはそこだけで、家内は温かさでいっぱいだった。困った時は助けてくれるし、真剣に悩みも聞いて行動まで移してくれる。だが、清都は社会・家内のルールにうんざりしていた。
それを京吾と出会ってから何気なく破ってしまった時、清都は身体にまとわりついていた鎖が解けたような感じがしたのだった。