キミに伝えたい言葉がある



「そうだね・・・」
「ゆあちゃん?」
「あたしは、びょーきだからずっとここにいなくちゃいけないってママにいわれたんだ」
「!」
「ずっとずーっとここにいる・・・いつになったらげんきになれるのかなー?」


何気ない言葉。
ゆあちゃんが望むこと。
俺は、その言葉に胸が苦しくなった。


莉桜菜だけじゃない。ここにはいろんな事情を抱えた病気の人がいる。
こんな俺よりも年下の子どもが何年もここにいる。


「・・・っ、元気になれるさ」
「ほんとうー?」
「だって、頑張っているんだろう・・・?」


「うん!!」


ゆあちゃんは、満面の笑みで頷いた。
そして、看護師さんがゆあちゃんの名前を呼んで、彼女は「バイバイ」と俺に手を振ってパーカーを返してから看護師さんの方に歩いて行った。
俺は、その小さな背中をただ、見送ることしか出来なかった。


「この世は、不平等だな・・・」


あんな子どもにまで神様は試練を与えるのか。


俺は、ベンチに体重を掛ける。体がずれていくのを止めることもせずに、パーカーの帽子を目深に被った。




ブーブーとスマホが鳴って、ポケットから取り出す。
手は驚くほど冷たくなっていた。
体も、芯から冷え切っている。
大分、外にいすぎたようだ。

スマホを開くと、母さんからショートメールが届いていた。
病室に戻っても大丈夫という合図だ。


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