perverse
聞く相手を間違えていた

宙さんは嫁のことを一つも褒めていないし、名前すら呼ばない

「本当ですか?」

なんて言うけどココロの隅で、私よりキレイな人であって欲しいと思っている自分もいる

4年前の私に『完全な敗北』だったことを教えあげたい

そうじゃないとあんな取られ方をした私が惨めだ

いろんな思いが私の中で錯綜

たぶん私も予想以上にダメージを受けている

「そろそろでかけようか?」

時計を見た宙さんが言う

「この後、何か用事でもありましたっけ?」
「ない。夕方にアイツが来るから」
「えっ、電話で断ったんじゃないんですか?」
「でも来る。夕食目当てに。完全なパラサイトだから。会いたい?」

会いたくはないが、少し見たいような気もする

そんな私を見て、大きな掌で頭を掴みフッと肩を揺らして微笑む

「今日はないない。まだ準備ができていないし。美波の身もココロも俺のものになってからじゃないとね」
「はいっ?」

言っている意味はわかるけど、宙さんのこのノリそろそろ慣れないいけないな

「あっ、その前に食器戻してきます」

と一階のキッチンに食器を持って行く

「ごちそうさまでした」

夕食の下ごしらえをしているお母さんに伝え、シンクに食器を置く。

「今、洗ってもいいですか?」

って言いながら、食器を洗い出す


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