perverse
密着した身体
重なる唇
全身から伝わる宙さんの体温
力強さ

いつもの余裕が感じられない

私が離れていく不安からかもしれない

それぐらい私達の関係は脆くて不安定

時間が育むであろう愛とか信頼関係もほとんどない

私が彼をこんな気持ちにさせたのか、それとも環境なのか

今までの宙さんの強引さはこの環境のせいだったというのは

今、全身で私に縋っている彼を見れば一目瞭然

宙さんに身を委ねる

私の意志は全くないというか、身体の自由を奪われていたので彼のなすがまま

ーーーやっと離れた唇

「ゴメン」

申し訳なさそう

いつも知的な宙さんとは違い、理性より本能の行動に見える

「宙さんはクールな人だと思ってたんですが、以外に人間臭い所もあるんですね」

悪戯に皮肉を言ってみる

「俺だって1人の男だよ」

笑って答える

「ハハハハハッ」

もう二人で笑うしかない

これから見えない未来に足を突っ込むには、弱音なんか見せてはいけない

今から見せるのなら、さっさっと撤収したほうが賢明

それぐらい怖い存在

会ったこともないけど

見えない攻撃は受けている

私は彼女と闘えるのだろうか?

「私とお嫁さんってどちらがキレイですか?」

一つでも勝っている所が知りたい

「美波に決まっているだろう」

嬉しそうに答える
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