perverse
庭を一通り見て、宙さんはリビングに戻ってきた。

「宙さん、何か飲まれます?」

一瞬ムッとした顔

私、何かした?

「名前!そろそろ他人行儀やめない?はい、やり直し!」

ニヤニヤしながらこっちを見てる

「はるか・・・」

あー年上だから呼び捨て難しい・・・っていうか照れる

そんな私を見にキッチンに向かって来て私を観察る

「顔真っ赤だよ」

ニコニコしながら、ツッコんできた

「飲み物、さっき買ったビールで」

カウンターの向こうで宙さんは手を出し要求

「車どうするんですか?」
「電車で帰ればいいだろう?」

あっ、そうか。家近いし、駐車場も一晩置いても別に構わない

妙に納得

ビールを渡し、私も自分の分を持ってリビングのソファーに向かう

「美波も飲むの?」
「飲みたくなって」

二人で並んで座り、乾杯をし一口飲む

「あーおいしい」

このまったりとした二人の時間に、ささやかな幸せを感じる

「あの、聞いていいですか?」
「何?」

お母さんから聞いた事が気になって

「婿養子になっていいとか」
「聞いた?」

コクンと頷く

「もしご両親が希望したら、それでもいいかと思っただけ」

私はブンブンと首を横に振り

「うち、お婿さんを貰うような家じゃないですよ姉だってお嫁に行ったし」
「それぐらいの覚悟で美波との結婚を真剣に考えてるってことだよ」

私に向ける彼の眼差しは真剣だった
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