perverse
14 本能
宙さんは私の唇を貪って、どれぐらい時間が経ったのだろう?

気のせいか、その先に進む予兆がない

久しぶりの濃厚なキスで私の頭の中は溶けるようにボッーとしている

もっと、もっと宙さんに抱かれたい。宙さんのものになりたいと思う

激しく私の口内を堪能している彼の舌。その隙間から吐息が漏れ

「好き。愛してる…」

吐息みたいな声で思いを告げる

その声でまた、宙さんのスイッチを入れたと私は確信したのに、彼の手は一向に先に進まない

唇がやっと離れたかと思うと、彼はニヤッと笑い

『シャワーを浴びてくる……』

とその場を去った

私の思いとは裏腹の彼の行動に言葉が出ない

彼の行動に理解はできる。真夏の暑さの中の帰宅なのだから、汗臭いのは否めない。実際、私も同じ気持ちだ

彼と離れて数分しか経っていないのに、肌寂しい自分がいる

欲求不満?

そうかもしれない。前の彼と別れてから半年ぐらいご無沙汰なのは本当のことだし

別にせっかちな性格なわけではないのに、無性に彼の側にいたい

今の私には自制心がないのか?
私の足は自然とバスルームに向かっていた
脱衣場に入った私。物音が聞こえたのだろう。
シャワーの音が止み

『美波?』

という声が聞こえ、扉が開く

扉の向こうには全裸の宙さん。
『鍛えている?』と思わせる、腹筋は少し割れていた

視線が下のほうに行き・・・見てしまい、顔が熱くなる

たぶん顔が真っ赤になっている

『のぞき?』

宙さんがニヤッと厭らしい笑いをする

私は『はい』とも、自分の素直な気持ちも口にできないままモジモジしている。


宙さんはそんな私を見てクスッと肩で笑い、扉のこちら側に出て来る

『一緒に入ろうか』

って言いながら唇を押し当て、ブラスのボタンを外していく。私の返事も聞かず

そして抵抗しない私

ああ、私はこうなる事を望んでココに来たんだ

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