perverse
大笑いしている宙さんに

「携帯鳴っていましたよ」

というと、リビングに携帯を取りに行った。携帯を手に取り着信の画面を確認する宙さんの表情が曇ったような気がしたのは気のせい?

「病院から?」

って聞いてみると

『いや、同僚から……』

と機嫌悪そうな声が耳に入る

「深夜帯にかけてくるなんて緊急なのかな?」

なんて話していると、またコールの音。これは緊急自体に違いない。怪訝そうに電話に出る宙さんの表情が怖い

怒っている

『こんな夜遅くからなんだ?』
『断っただろう……』
『しつこい』
『言い忘れていたけどね、俺結婚するんだよねー』
『じゃあ』

1分ぐらいで電話は切られた

これって、もしかして…オンナ?

頭に浮かぶのは昼間に見た翔の嫁の姿

そして、過去に私の知らない略奪されていた時間の、苦しい感情が蘇る。私の眼からは涙が浮かび、唇は震えている

彼に抱かれてさっきまで幸せの絶頂だったのに、急に地獄に落とされた気分だ

こんな深夜に電話をかけるなんて、特別な関係じゃなきゃありえない

電話を切り、私の不安そうな表情を見て固まった宙さん
取り繕うように私を抱きしめるが……不安の方が大きくて身体が動じない
宙さんはそんな私のココロを読み取ったのか

『電話は同期の女性医師からだった』

という言葉を口にした。

『女性』という言葉だけで、辛辣な気持ちになってしまう

「女性って彼女?」

宙さんが首を横に振る

『大学の同期で、歳は1コ下。今は大学に残って研究しているが、週に1日うちの病院にバイトで来ている。彼女、親から見合いを薦められて、それを断るために恋人のフリをしてくれっていう内容。俺は美波がいるから何度も断っているのに、我儘なお嬢さんだからしつこいんだ』

私を見つめる眼差しは真剣に見える

「嘘じゃないよね?」
『ホント。俺は美波だけなんだから』
「信じてもいいの?」
『当たり前だろう?俺は翔と違うの』

そう言いながら、彼は強く私を抱きしめた
< 128 / 294 >

この作品をシェア

pagetop