perverse
私は翔の方を見上げる。懐かしい顔…私が4年間夢にまで見た会いたかった顔…そう思っていると、自然に眼から涙が浮かぶ

私は顔を背ける
『この涙、どうしよう……』

掴まれた腕の翔の手の感触。体温も懐かしい。もしかした私が求めていたものは…

宙さんは、私の気持ちの変化?たぶん顔色が変わったのを察知したのか翔の腕を振り払い

『俺の婚約者に何の用?』

今までに見たことのない怖い表情で、翔を威嚇する

「兄ちゃん、どうゆうつもり?」

怒りを感じる翔の声、そして翔の握られている拳は震えている
今ここで、殴り合いになってもおかしくない状態

宙さんは私の腕を掴み、二階の自分の部屋に引っ張って行く

「後で、お茶を持っていくわね」
とお母さんは、この空気を変えようとしているのか普段どうりの対応

翔は私と宙さんを睨んでいるが、それ以上の行動はなかった
たぶん、嫁と娘がいるからだと思う。それ以上のことはない。所詮私は昔、捨てられた女

二階の宙さんの部屋に入るとベッドの上に座らされる。引越ししたとはいえ前に来た時とあまり変わらない状態の部屋
私の隣に座った宙さんは私を抱きしめた。

『大丈夫?』
「ごめんなさい。突然すぎてびっくりしてしまって……」
必死で言い繕う私
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