perverse
『俺たちは結婚するのに何言ってるんだ?』
抱きしめている腕の力が強まる
「私は院長の娘が言うように貴方には相応しくない」
『相応しくないのは町田先生の方。あれは負け惜しみ』
「あの親子が来てから私を避けてる。結婚を後悔しているんだと思った」
『避けてる?俺が』
驚いている宙さん
自覚がない?
私に巻き付いていた腕が離れ宙さんが両手で顔を覆う
「良かった。美波に捨てられると思った」
安堵した宙さんの声が
今、何て言いました?
つまり、私が一人でモンモンとしていたってことですか?

宙さんが『捨てられると思った』と言ってるのは今日、私が怒ったことに対してということで
『私を避けてる』という言葉には否定的
ということは、私一人で怒ってたっていうことになる
これはさすがに落ち込む
『ごめん何か怒らせることした?』
「最近ほとんど必要以外会話がなかった。全然構ってくれないし」
『ごめん。不安にさせて。結婚が決まって安心してて油断してた」
「油断ってどうゆうこと?」
私は本当の事を知りたくて聞いてみると、宙さんは私の荷物を持ってリビングに行くように促す
私は帰るのを断念
宙さんについてリビングに戻る
ソファーに座ると宙さんが珍しくアイスコーヒーを入れてくれた
「ありがとうございます」
ソファーの横に座る宙さんの顔を見つめる。
数日ぶりに見る宙さんの顔は少し疲れているように見える
『再会してからもうすぐ2ケ月だね』
改まった様子で話を始める
『実は5月頃から美波があの電車に乗るのを知っていて、ずっとチャンスを狙っていた。そのチャンスが2ケ月後のあの日だった』
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