perverse
お母さんが飲み物を持って来てくれる
お菓子は手作りの紅茶のシフォンケーキ

「あっ、これ」

すごく懐かしすぎて涙がホロリ

「美波ちゃん大好きだったよね」
「はい。覚えてくれてたんですね。嬉しい」

お父さんとお母さんは目配せをして、ソファーから立ち上がりフローリングの上に正座をした

「美波ちゃん、このような状態で宙との結婚を決めていただいてありがとうございます」

お父さんが口を開き、頭を下げる

私は二人の土下座にびっくりして

「お父さん、お母さん頭を上げて下さい」

と言い、駆け寄ろうとした

「でも、申し訳なくて」

お母さんはそう呟く。頭は上げようとしない

たぶん翔のことを言っているのだと思う

「過去のことはもう忘れました。だから、頭を上げて下さい」

宙さんの方を見て助けを請う

宙さんは私に申し訳なさそうな顔をして

「父さん、母さんの気持ちは伝わったから。それぐらいにしてあげないと、美波が気を使って
かわいそうだよ」

私はこの家にとっては悪い存在

宙さんは親にそこまでさせて、どうして私との結婚を考えているのだろうか?

社会的地位も収入もある宙さんと結婚したい人なんてごまんと居るのに

なぜ弟の元カノの私なんだろう?

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