perverse
「ごめん。俺が医者になったばかりに、アイツが勘違いすることになって」

私に気を使う宙さん。私は首を横に振り

「関係ないですよ。医者になるためにどれだけ努力したんですか?」

同じ高校だったから学年は違うけど努力の量は知っている

私達の高校の、宙さんが通っていた特進コースは偏差値74で休み時間もみんな勉強するのが当たり前

その中で浪人も含め毎年5人程度の生徒が医学部に進む

誰もが簡単じゃないってことは安易に考えられる

話を聞いただけだけど、見た目だけで判断し自分の欲求だけで人を傷つけるのもお構いなし

会ったことはないけれど、そんな彼女を許せないと思った

でも交際しているだけで金持ちかどうかなんてだいたいわかるよね

どうしてで結婚したんだろう?

疑問が浮かぶ

「デキ婚?」

「違うよ。アイツのペースに巻き込まれた翔でもそれだけは避けていたみたい。子供ができたのは去年。結婚してから」

違うんだ。じゃあそこには【愛】があったのか?

顔も知らない嫁のことを知りたいって思う自分とどうでもいいと思う自分が混在している

「俺と結婚するのイヤになった?」

宙さんが私を見つめる眼差しが痛い

結婚するということは翔が義弟になり、嫁が義妹になる

つまり親戚になるということで、切っても切れない存在になること

私は宙さんと一緒にいることしか頭にはなく重大なことを忘れていた
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