breath
「明日美、綺麗だよ……」

優しく囁いて、お世辞?を言ってくれる樹さん

私はその言葉にドキッとする

私自身、今、すごく不安だったので構ってくれるだけでも嬉しい

というか、なんて寂しい女なんだろう……私

それとも、このドキドキしたりせつなくなったりするのが恋愛なんだろうか?

本当に私って、恋愛偏差値が低いと思う

過去に指で数えるくらいしか恋愛をしてこなかった罰だ

「っありがとうございます……。この服、樹さんのお母様に買っていただいて……」

完璧、緊張している私

久しぶりの樹さんを目の前にして、私の中の彼が非常に不足しているから……

寂しい思いを隠してきたから……

樹さんはそれを察したのか、優しく私を抱きしめた

彼の匂いが私の全身に付き纏う

私は実感した

私がいるべき場所はこの匂いがする所

樹さんの側なんだと

私の心のシコリが取れた事を証明するように、私の目から涙が溢れ出た
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