breath
「とりあえず退職は保留だ。望月さんは目の前の仕事を真摯に打ち込む。藤崎の妊娠も樹の子だと決まった訳ではない。動くのは、わかってからでもいいのではないか?」

真剣に私の目をまっすぐ見て言う専務、私はその言葉を信じて良いのだろうか?

今の私は……何を信じていいのか、信じたらいけないのかわからない状態

専務は

専務だけは……私を裏切らない?

「専務……私は専務を信じて良いですか?」

本当はこんな事を言ってはいけないのはわかっている

でも……今の私は……誰かに縋らないと生きていけないかも……それぐらい弱っている

その言葉を吐いた後、私の目にはまたウルウルと潤んできた

ここはファミリーレストラン

客もそこそこ入っている

私が泣いてしまったら……周囲から注目を浴びてしまい、専務に迷惑をかけてしまう

私は咄嗟にトイレに行こうと立ち上がると、専務はさりげなく車のキーをさり気なく私のてに握らす
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