breath
「樹さんのご実家に寄るんですか?」

「今日、乗ってきた車は実家のなんだ。返さないといけないし」

普通に話す樹さん

私の立場わかっていますか?

「樹さん……あの……私なんかが行っても大丈夫なんですか?」

取りあえず聞いてみる。

このタイミングでわかってもらえると有難いんだけど……

「明日美、何言ってるの?大丈夫に決まっているだろう?」

「ーーーーー」

たぶん私は不安な表情をしているだろう

樹さんは私の事を見て、何か気づいたみたいだ

ーーーたぶん……私の病気の事だと思う

社長が話した……って言っていたから

樹さんは、私の頭を撫でて

「俺がついているから大丈夫だよ。」

爽やかな笑顔でそう言う。

二年前と同じ笑顔で……

過去の私だったら彼を信じたけど、今の私だったら逃げるだろう

でも……ここで逃げたら……確実に私は捨てられる……そして彼は新しい幸せを掴む……

「わかりました」

一生懸命引きつった笑顔をして、返事をした
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