breath
「明日美……二年間、どんな理由であれ婚約者なのに、放っておいて本当にごめんなさい」

頭を下げる樹さん

「頭を上げて下さい。もう終わった事ですし……」

頭を上げさせようとするけど、樹さんの頭は項垂れたまま

「明日美の中で俺の事はもう終わった事なの?」

小さな声で、苦しそうに尋ねる

再会した時の私のよそよそしい態度が気に障ったのだろう

「すいません。急な事で動揺してしまって」

私が戸惑っている事を言うと

樹さんは顔を上げ、私の目をじっと見つめる

樹さんの瞳の奥が揺れているのがわかる

「俺は今でもずっと明日美の事が好きだ。結婚したい。だから、これからもずっと俺の側にいて欲しい……いて下さい」

私の手を握り、真剣な眼差しでプロポーズとも取れる告白をする

私は……どうしたら良いのだろう?

昔の私だったら無邪気に喜んだけど、今の私は……戸惑っている

私のこのモヤモヤ感は何……?

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