breath
私達は久しぶりにお互いの身体の感触を感じあった

全てが終わり、樹さんの腕枕で寝ている私

睫毛が長い彼の横顔をボッーと見ている

きめ細やかで端正な顔立ち、そして社長のご子息

別に私じゃなくっても、引く手あまたなんだよね……

たぶん、この先……取られる可能性大か……

私はこの先、彼のセフレにでもなってしがみついていくしかないのか……な……

みじめだけど、私にはそんな手段しか残っていない

そう思うと、悲しくなって、この2年間の寂しい気持ちを思い出しちゃって、涙が溢れてきた

さすがに、彼の前で泣くのはルール違反で絶対引かれると思い、ベッドから出てバスルームに向かう

シャワーを出し、声を押し殺すように泣く

この涙は彼に抱かれた後悔?

それとも、狡い私を演じようとしている私に無理があるから?

バスルームに向かう足音が聞こえ、ドアが開く

私はシャワーを止め振り返ると、樹さんが立っていた
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