大事にされたいのは君
よし。今日は朝見かけたらすぐに声を掛ける。迷惑そうでも、出来るだけ長く隣を歩けるように頑張る。
気合いを入れて、学校までのいつもの道のりを歩いた。そうだ、今日は買わないといけないのだったと、途中でコンビニに寄ってメロンパンを買った。瀬良君と初めてあの場所で過ごした時もメロンパンだった。その後も度々お昼に登場するそれに、瀬良君は毎回「それ好きだねー」と、声を掛けてくれていた。だから自然と今日もそれを選んだ。
「あ、吉岡さん」
コンビニを出ると、ちょうどのタイミングでばったりと出くわした彼らに驚いた。
「瀬良君、三好君」
おはようと、挨拶をそれぞれと交わして、自然と隣に並んで歩き出した。今日は二人が先に途中で出会ったのだろう。いつもだったら私が居るせいで瀬良君は他の誰かを見つけて去っていく所だけれど、どうやら今日は違うらしい。友達になった私とは、このまま三人で会話を続けてくれるらしい。明らかな変化に胸が踊ったけれど、そっと隠し込んで気づいていないかのように徹する。
「昼飯買ったの?」
「うん。メロンパン」
「…好きだねぇ」
私が求めていた答えは、返ってきた。
「…うん。好きなんだ」
でもそれは彼のものでは無く、三好君のものだった。三好君からの答えだった。それにガッカリした自分が居る事からはもう、目を逸らせない。
「あ、そうだ。今日俺、昼用事あるからさ。別で食うから」
そしてあっさりと瀬良君から告げられた言葉にもう一度ガッカリして、そこから話を広げる事も出来ずにもうお昼の話題は終わってしまった。私は結局何も出来ずに相槌を打っているだけだったような気がする…あまりに急にテンションが下がってしまったせいでよく分からなかったけれど。