大事にされたいのは君

それはほぼ反射で聞き返していた。私の目に映る目の前の彼は、まるでとっても良い事が起こった時のようにウキウキとしている。そして、「実は吉岡さんならいーのになって思ってたんだよな」なんていう新たな事実を暴露した。

「まず、俺の事好きじゃない所。そんで冷静に判断して自分の気持ちだけで押し付けてこない所。あと俺の恋愛事情を知ってる所。極め付けに今すごく寂しくて、誰かを必要としてる所…な?俺の好みにピッタリ」

「え、ちょっと待って…それどういう意味で言ってる?」

「ちなみに吉岡さんの顔もめっちゃ好き」

「はぁ??」

何がどうしてこうなった。私と彼で話をしていたはずなのに驚く程内容が頭に入ってこない、この結果に至るまでの過程はどこへ行った。

「吉岡さんも誰かの一番になりたいんだよね?俺の事生理的に無理なくらい嫌いじゃないならもう俺で良くない?」

「良くない?って、私は別に君のこと嫌いじゃないけど、好きでもないというか…少し苦手だし」

「えー!なんで?」

「なんでってこう、一つ一つが軽い感じが苦手。人の好意を受け取っておいて、必要なくなったら簡単に切り捨てる人なんだって分かったらちょっと…」

「吉岡さん俺の話そんな気持ちで聞いてたの!?」

「主観的な面ではね。好かれれば好かれる程冷める人を大事に思うだけ無駄だし、あれだけ周りに人が居てそれでも足りないなんて欲張りにも程があるというか、自分の理想ばかり見て現実見れてない人にも見える」

「まじで辛辣…今までは気遣って貰ってたんだって、今ひしひしと感じてる」

「相談に乗ってた訳だからね。私も関わってくるとなったら話は別だよ」

もう解決策を考えながら話さなくて良い訳だから、客観的な見え方なんて関係無い。去年の友達とのやり取りの失敗は随分堪えてる。正直トラウマになってる気もする。だからちゃんと気をつけて相談に乗ってたけれど、そうじゃないなら話は別だ。私だって私贔屓の私の為の考えはある。
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