大事にされたいのは君
「君を大事にするっていうのは、君の周りの環境ごと大事にするって事なんだと思う。君が大事で一緒に居たいからって、私が君の自由や選択肢を狭めてしまうのは違う。だって君は、足りないものを埋めたいだけなんだから」
「……」
不満げに私を見る瀬良君に、「でもここに来てくれるのはもちろん嬉しいんだからね」と、ちゃんフォローをいれる。私の気持ちも伝えておかないと、傷つけるだけになってしまったら大変だ。
「君にとって友達も大事。私が君を大事にしたいっていうのは君の全部を大切にしたいって事だから、だから皆の君が私の所にこうやって来てくれるのは嬉しいけど、来すぎて君の時間を貰いすぎるのは嬉しくないなって思う」
「……なるほど」
私の長い独白に耳を傾けていた彼は、ポツリと相槌を打つと、納得いった様子で私を見て言った。
「謎は全て解けたかもしれない」
「…はい?」
何を言ってるのだと、本当に今の話を聞いていたのかと聞き返す他無かった。私は真剣に話していたというのに。謎は全て解けた?
「バカにしてる?」
「いや違う、マジで違う」
慌てて否定する彼にじゃあ何なんだと、馬鹿らしくなってきた私は溜め息をついた。すると視線を上の方へそっと泳がせて何かを思い返すような素振りを見せた彼は、「いやー俺さ」と、語り始める。
「今までこんな風に思われた事無かったからさ、だから吉岡さんが良かったんだなって納得して」
「?」
「吉岡さんはさ、俺の事好きじゃん?」
「……まぁ、普通にって意味でね」
「ハハッ、揺るがねーな。まぁ吉岡さんに関してはどっちでもいいんだけど…でもやっぱ恋愛じゃないからこうやって大事にしてくれんのかなぁ…」
「……」