Vanilla
「やっぱり好きなのね」

私を見ながら納得したような顔と出てきた言葉に、心臓が激しくなるのを感じる。

次の瞬間、体温が異常に上がっていくのを感じて。


好き……


心の中で反芻してみると、しっくりきた。

今までのこのモヤモヤな感情に。


「好き……なのかも、しれない……」

言葉に出すと唇が震えた。

激しくなる鼓動を聞くと、余計に実感した。


だがすぐに、心は不安に覆われる。


「どうしたの?つぐみ」

突然頭を抱え始めた私に疑問を持った愛佳ちゃんが訊ねる。

「失恋決定だもん……」

頭を抱えながら溢す。
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