Vanilla
「何で?」

そんな私を不思議に思った愛佳ちゃんが訊ねた。

「だってあの人、絶対私を道具としか思ってない……」

だって、一昨日から今日の朝まで帰ってこなかったんだもん……

考えるだけで重くなる心。
苦しくなる呼吸。

彼を好きになっている自分を、嫌になるほど、実感する……。




「朝永さんって本当はつぐみの事、狙ってたんじゃないの?」

「え?」

愛佳ちゃんのまさかの言葉に、パッと顔を上げる。
数秒前までお先真っ暗だった顔が、今は期待しかない顔で愛佳ちゃんの続く言葉を待つ私。
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