Vanilla
「……朝永さんが買ったんですから食べて下さい」

私は床に座ったまま洗濯物を畳み続けながら素っ気なく返す。
さっさと洗濯物を片付けてしまおうと、次にタオルを取ろうとしたら大きな足が見えて。

「グミ、口開けろ」

その声に顔を上げると、片方の口の端が楽しそうに上げて、手にはバニラアイスのカップとスプーンを持った朝永さんが。
スプーンにはバニラアイスを乗せて私に差し出している。

何よ、人の気持ちも知らないで……。

「……要りません」

平然と接してくる朝永さんに苛々しか感じなくて、私は洗濯物に顔を戻す。


が、


「きゃっ!」


次の瞬間、景色は突然反転。
視界には天井と私を見下ろす朝永さん。

朝永さんが私のお腹の上に乗って馬乗り状態。
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