Vanilla
「その顔……振られちゃった……?」

無言でブラウスのボタンをはめている私が振られたと思ったようで、私の顔をゆっくり覗く愛佳ちゃん。
私はキョロキョロと辺りを見渡して人が居ないかを確認。
人は近くには見当たらなかったけれど、大きなロッカールーム。
いつ誰が入ってくるかは分からない。

「……振られるようなこと、言ってないから」

私は小声でボソリ。

「じゃあ何でそんな暗いの?」

眉を寄せながら私の横のロッカーを開ける愛佳ちゃん。

「……朝永さんの心が掴めないから」

ボタンをはめきって準備を終えた私は静かにロッカーを閉める。

「望みはあると思うんだけどな〜。あ、じゃあ、いっそのこと、告白しちゃえ!」

ロッカーに荷物を詰めながら、あっさり言った愛佳ちゃん。

それが出来たら一人でモヤモヤしてないよ。
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