Vanilla

「今日は冷えるな」

台所で掃除をしていたら、突然朝永さんがカウンターからキッチンを覗き込んで話しかけてきた。


「……そうですね」

無視をしようか迷ったけれど、無視したら機嫌が悪くなるかもしれないと思い、私はガスレンジの掃除に戻りながら返した。


「風呂入んないの?もう十一時。アイスのご褒美要らないのか?」

さっきので終わると思った会話が続いて。
しかも今日に限って触れて欲しくない話題に触れてくる。
動かしていた手を仕方なく止める。


「……今から行きます。アイスは要りません。朝永さんは先に寝て下さい」

「まだ眠くないし、待っててやる」


え、
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