Vanilla
両親が今も生きていたら、しー君は寮生活もしていなかったのかな。
私も一人暮らしをしていなかったのかな。
今も家族皆一緒に居られたのかななんて考えると寂しくなった。
でも両親が今も居たら、私は朝永さんとは出会ってもいなかったかもしれない。
違う道になったとしても、それはそれで寂しい。

人生とは不思議なものだ。


「つぐみ、俺今、好きなことさせてもらえるだけで充分だから」

「え?」

唐突に飛んできた会話に意味が分からなくて。

「だからつぐみも自分の幸せを考えろ」

しー君は今日はこればっかり。

「私の幸せはしー君が幸せになることだよ」

「俺も一緒だから」


今は二人だけになってしまった家族。
でもしー君が居てくれて良かった。
しー君が弟で、良かった……。
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