Vanilla
「え?」

私はそれしか言えなかった。
言葉が上手く出ない。
ずっと目を見開きっぱなしだ。
だって展開についていけていない。
やっと姿が見えた新婦さんをイメージして選んだであろう清楚な白のワンピースを着た穂香さんと伊藤さんだけじゃない。
目の前には私と同じ顔した人ばかりだから。
いつの間にか辺りが静まりかえっていたことにも今更気付いた。
朝永さんが引っ張るので、とりあえず私は穂香さんと伊藤さんに向けてペコッと軽く頭を下げた。

沢山の人の間を変な静寂に包まれながら、私は朝永さんに手を引っ張られていく。
視線しか感じない。

その時、杉森さんと目が合った。
私に笑顔で手を振ってくれている。

ごめんなさい、杉森さん。
私を好きだと言ってくれたこと、凄く嬉しかったです。と、心の中で言った。


「朝永さん!感謝して下さいね!」

そんな変な空気の中、愛佳ちゃんが前に居る朝永さんに向けて親指を立てた。

あれ?この二人って仲良かったの?

「つぐみ!良かったね!」

疑問符を頭の上に浮かべていると、愛佳ちゃんは今度は笑顔で私に手を振った。


愛佳ちゃん、これって、そういうことだよね?
私……自惚れて良いんだよね?
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