Vanilla
「つぐみの気持ちは?」

私の頬にそおっと優しく触れた長い指。
そこから甘さが浸透する。


「朝永さんっ、もう一度今ここで聞かせて下さいっ」

左手にはずっと温かい感触。
目の前には期待を宿した瞳と表情。


「つぐみから言って?」

こんな時に小首を傾げて甘える仕草は卑怯だ。

胸がぎゅうって苦しくなる。


「朝永さんが、好きです……」

言葉に出すと、朝永さんは嬉しそうにはにかんだ笑顔を作った。

やっぱり朝永さんは可愛い。


「さ、帰るか」

すると朝永さんがパッと前を見た。


ちょっと待て。


「私言いましたよ、言って下さい!」

繋がれている手を引っ張って要求すると、チラッと私を横目で見た後ムスッとなってそっぽを向いた。

なんて卑怯な男。
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