Vanilla
「お試しで付き合ってみない?」

「でも、私は……」

口籠もり困っている様子の彼女を見て、助けようと思った。


「水野さん、課長が呼んでます」

二人の前に行き、俺は咄嗟に嘘をついた。
彼女は俺を見るとホッとした顔を見せた。
その顔に俺も彼女は八木に好意を持っていないと分かり安堵した。

「今行くね。八木さん、失礼します」

彼女は軽く頭を下げると「行こうか、朝永君」と言ってオフィスに向かっていく。

「水野さん、さっきの嘘です」

「え?」

横目で彼女を見る。

「……邪魔しました?」

俺なりの駆け引き。

すると彼女は進路を塞ぐように前に立った。
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