君を借りてもいいですか?
もう一度声をかけると湊人は夢から覚めたようにハッと我に返った。

「ごめん。あまりにも自然すぎて、偽物だって忘れていたよ」

え?

湊人からの意外な一言に私はドキドキしてしまった。

でもゴンをイメージしていたなんて言えない。

「とりあえず、手を握るのは合格だね。どうする?次のステップに進む?」

「え?次?ちなみにそれはどんなこと?」

手を触れるよりも高度なことはわかる。

「腰を抱くとか肩に触れるとか…抱きしめるとか?」

えええ?さすがにゴンでイメージできない案件だ。

でもここで引き下がるわけにはいかない。

「だ、だ大丈夫です!」

考えてみれば恋愛経験が全くないわけではない。数は少ないがそれくらいできなくはない。

ただ、まだ相手のことを熟知していない人とするだけだ。気合いだ。

私は勢いよく立ち上がった。
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