君を借りてもいいですか?
「なーんてね。冗談」

「へ?」

私は体を張って頑張るつもりでいたのになぜ?

「縁談相手の目の前で抱き合ったりするわけでもないし、今手を握っただけで栞だったら大丈夫だって確信した」

「は〜」

ん〜私にはイマイチわからないが、そこまでしなくてもいいのならそれに越した事はない。

そう思うのになんだろう。一瞬残念だなって思う自分がいて…って私ったら何考えてるの?

いけない、いけない。

「もしかして…残念だと思ってる?」

顔を覗き込むように尋ねられた。

「お、思ってないですよ。それより、仕事がひと段落したならお風呂はいってきたらどうです?湊人の言う通りツルツルでとても気持ちよかったですよ」

これ以上、話を長引かせたくなくて早口で温泉を勧めた。

湊人は「そうだな」といって立ち上がった。そして私の横を通る時、肩をポンと叩いてお風呂場へ向かった。
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