きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
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『……はい、櫻子、
「行ってらっしゃい」のチュウは?』
ハグが「定番化」された翌朝、玄関先で革靴を履き終えたシンちゃんが、いきなり言った。
『ちゅ……チュウぅっ!?』
わたしは生まれて三十二年間発したことのない、怪鳥のような周波数の声で叫んでいた。
『「行ってらっしゃいのチュウ」は新婚家庭の必須アイテムじゃないか』
シンちゃんがさも当然のように言う。
『でっ…でもっ!「行ってらっしゃい」は言えませんっ!だって、わたしも「行ってきます」ですもんっ!!』
これから、わたしだって出勤するのだ。
だから、二人とも「行ってきます」だ。
すると、シンちゃんはくくっ、と笑って、
『じゃあ、櫻子が先に「行ってらっしゃい」って、ちゅっ、ってしてくれたら、今度は僕がきみに「行ってらっしゃいのチュウ」をしてあげるよ』
さもおかしそうな調子で言う。
いやいやいや……それこそ、おかしいから。
そんなの、ホンモノの新婚さんじゃないと、頭沸いてるから。
『……はい、櫻子、
「行ってらっしゃい」のチュウは?』
ハグが「定番化」された翌朝、玄関先で革靴を履き終えたシンちゃんが、いきなり言った。
『ちゅ……チュウぅっ!?』
わたしは生まれて三十二年間発したことのない、怪鳥のような周波数の声で叫んでいた。
『「行ってらっしゃいのチュウ」は新婚家庭の必須アイテムじゃないか』
シンちゃんがさも当然のように言う。
『でっ…でもっ!「行ってらっしゃい」は言えませんっ!だって、わたしも「行ってきます」ですもんっ!!』
これから、わたしだって出勤するのだ。
だから、二人とも「行ってきます」だ。
すると、シンちゃんはくくっ、と笑って、
『じゃあ、櫻子が先に「行ってらっしゃい」って、ちゅっ、ってしてくれたら、今度は僕がきみに「行ってらっしゃいのチュウ」をしてあげるよ』
さもおかしそうな調子で言う。
いやいやいや……それこそ、おかしいから。
そんなの、ホンモノの新婚さんじゃないと、頭沸いてるから。