きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
その人は、図書の貸出カウンターの向こうで、一緒に働く歳下の同僚に、可憐な花のように微笑んで指示していた。
カットソーとパンツの上にエプロンをまとう、至ってなんの変哲もない格好なのに……
我が社のエントランスで僕が通るたびに、大輪の花のようににっこり笑う受付嬢よりも、ずっと美しい、と思った。
もっとも、僕が「(株)萬年堂の専務取締役」でなかったら、彼女たちはきっとあのような笑顔を見せてくれないに違いないけれど。
それにしても……「一目惚れ」って、
……本当に、この世の中にあるんだ。