きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
「はあああぁっ!?」
真生ちゃんは素っ頓狂な声で叫んだ。
「……ここ、一応、図書館だから、さ」
わたしは口元に人差し指を立てて、小声でたしなめた。
机に突っ伏して寝ていた営業マンらしき人が数人、何事かっ!?と起き上がっていた。
「なに悠長なこと、言ってるんですかっ!
それ、ストーカーですよっ!
櫻子さん、ストーキングされてますっ!!」
真生ちゃんは、それどころじゃないとばかりの声音で告げた。
「ま…まさか……なんで、わたしみたいなのが?」
口元に立てた人差し指を、今度は自分自身の方へ向けた。
「もおっ!のんびりおっとりさんなのが櫻子さんの持ち味ですけど、無防備すぎますっ!
なんで、そんな気色の悪い電話に延々と出ちゃうんですかっ?ついにはファックス攻撃までされちゃってっ!」
……叱られてしまった。
まぁ、わたしが悪いんだけれども。
「精神的に追い詰められて、うつ病になっちゃったとしてもおかしくないことされてるんですよ?
だけど……そんなにため息吐いてるってことは、櫻子さん知らず識らずのうちに結構メンタルにキテますね」
……確かに、最近、自分を取り巻く「空気」が重たーくなったような気がする。
息をするのも、重苦しいときがある。