きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜

しかし、葛城さんはわたしの「申し出」をさくっとスルーして、

「日本じゃ、結婚指輪って言ったらプラチナだけど、欧米ではゴールドが主流なんだってね?」

自分の左手薬指のトリニティ・ウェディングリングを見つめた。


指輪を買った直後、葛城さんから『ストーカーはどこで櫻子さんを見てるかわからないからね』と言われて、すぐにリングをつけることとなった。

葛城さんがわたしの左手薬指にはめてくれたあと、『僕のもつけて』というので、今度はわたしが彼の左手薬指につけた。


「あ、そうみたいですね。でも、あのう……葛城さんまで結婚指輪を買う必要はあったんでしょうか?」

わたしなんかのために、こんな余計な高額出費は心苦しい。

「ん?」と、葛城さんがわたしを見る。
そんな無駄に端正な顔で、やさしく見つめないでほしい。

「だって、結婚指輪なんだから、お互いにしてなきゃダメでしょう?」

質問を質問で返された。


……なにも、言えなくなる。

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