きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
そのあと、華丸のデパートを二人で出た。
すると、葛城さんはなんと、わたしを家まで送る、と言い出した。うちの近くに出没するという「不審者」を警戒してのことだ。
「えっ、でも、うちはすっごく不便なとこなんですっ。地元では陸の孤島って呼ばれてるくらい、最寄り駅が近くになくて」
わたしの家が埼玉と千葉に挟まれた二十三区の東端である「立地」を言うと、
「えっ、櫻子さんのおうち、駅から遠いの?」
葛城さんの整った眉がぎゅっ、と寄った。
「じゃあ、ますます、きみの身が危険にさらされるじゃないか」
……いやいやいや、そうではなくて。
そして、メトロの駅に行く途中で、なぜか葛城さんは「ちょっと買い物させてくれる?」と言ってドンキに寄った。