今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。
『いいですよ、そんな。自分で買いますし』
『どうせ買うなら、俺が買ってもいいだろ』
『でも……そんな間柄じゃないですし』
これが恋人同士なら、ひとり帰省する彼女のために手土産を持たせてやる彼氏もいるだろう。だけど、私と水瀬さんはそういう関係じゃないし、こんなことをされたら期待しかできなくなるでしょう?
だから丁重にお断りして、気持ちだけ頂こうと思ったのに、
『大事な娘さんを東京で預かっているんだ。上司として当然だと思うけど? それに年末年始は何かと物入りだろ? 帰省する費用だって掛かるわけだし、親戚の子に会えば年玉も渡さないといけないんだぞ。だったら、実家への土産代くらい素直に甘えればいい』
水瀬さんは事もなげにそう言ったのだ。
あくまで上司というポジションを崩す気はないみたいに聞こえるけど、心遣いはとっても嬉しかった。
水瀬さんはそういう人なのだ。
堅物だけど、優しい。
時々、周りが見えてないんじゃないかなって心配になるけど、底抜けに優しいんだ。
「私、一人っ子だし、従兄弟もまだ独身だから、お年玉を渡すような子がいないんだけどね」
「あらあらまぁ、いいじゃない」
可笑しそうに口に手を当てて、ママが笑う。
「いらっしゃい、何の話をしてるの?」