今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。
昌也がやって来た。
流れるようなブロンドのロングウイッグを被り、深紅のドレスの裾を摘まむ仕草は、どこからどう見ても妖艶な美女だ。あの時も、こういう恰好をしていてくれれば、水瀬さんだって不審に思わなかっただろうなぁ。
そう思ったら、また彼の思い込みに笑えてきて。
笑っている理由を昌也とママに話すと、彼女たちも盛大に笑った。
「ちょっとやだぁ、じゃぁ紗夜と水瀬とデートできたのは、私のお陰ね」
「水瀬さん曰く、”デートじゃない”んだって」
「休みの日に待ち合わせして食事したんでしょ? 居酒屋ってのがムードに欠けるけど、どっからどう見てもデートじゃない。私の言った通り、やっぱり水瀬は紗夜に気があるのよ」
「いいわねぇ、そういう付き合うかどうかって時が1番楽しいのよ」
しんみりした顔で、頷くママ。
私の時はね……って、もう何度か聞いたことのある話が始まりそうになった頃、お店のドアが開き、賑やかな笑い声と共にお客さんが入ってきた。
中年の男の人が数人と、オカマバーには珍しい女性が1人。
そういう私も女なんだけど、何となく気になって目で追っていると、
「あれ!」
「あ!」
その女性は大阪出張でお世話になった彩さんだった。