今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。
でも、良いところなんです。
山と川とつり橋くらいしか有名なところがなくて、街へ出るのに時間はかかるし、お店が閉まるの早いし終電も9時になったら終わってしまう。
実家は築150年以上も経つような古い家で、それこそ畳しかなくて破れた座布団を何度も縫い直して使うような貧乏な家だけど、家族の温もりがあって笑顔があって、ちょっと間抜けな愛犬もいる。
何より自然が多くて、星が綺麗で水が美味しい。
水瀬さんはさっき居酒屋で、店の雰囲気が『実家に帰ったみたい』と言っていたから、もしかしたら彼の実家も田舎の方だったりするのかなって思ったけど、そっか、東京の人なんだ。
だから何ってわけじゃないけど、高嶺の花だなぁと思う。
生まれも育ちも全然違う。
「それって、田舎出身の人が持つ独特なコンプレックスじゃないの?」
「コンプレックスですか」
そ、と頷き、彩さんは水割りに口を付ける。
「東京出身といっても下町もあるし、田舎もあるの。みんながみんなハイソサエティーなわけじゃないし、私みたいに大阪の笑いと粉物と通天閣が無いと生きていけないーって人もいるわ」
「なるほど……」
「生まれや育ちなんて関係ないのよ」