今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。
「どうした? 何をやってる?」
背後から藤原に両腕を掴まれる形で立っていた私を見て、水瀬さんは目を丸くさせた。外出から戻ってきたばかりなのかコートを羽織ったまま、右手に紙カップを持っている。
「高木が風邪引いたみたいで」
「風邪?」
「いえ、大丈夫です」
「熱はあるのか? ずいぶん辛そうだな」
辛そう? そうかな。
私は風邪よりも、水瀬さんと柴咲さんが一緒に居るところを見る方が辛いんですけど……と、言ってられないくらい目の前がクラクラしている。
今、風邪とか引いてる場合じゃないのに。
「医務室で薬貰ってきます。少し休めば多分良くなると思うので」
「いや、今日は帰れ」
「でも、まだ企画の打ち合わせが終わってなくて」
「そんなの後でいい」
「良くないですよ! 今週中には完成させないと」
ついさっきまで休憩していたのに、何を言ってるのって感じだけど。
私の計算では、もう少し進捗していないと間に合わないのだ。
だから、今は風邪とか言ってる場合じゃなくてですね、と説明する私に、水瀬さんは真面目な顔できっぱりこう言った。
「いいから、帰りなさい。業務命令だ」