今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。





このままずっと風邪を引いていたらいいのにと思ったけれど、元来丈夫にできている身体は熱の下がりと共に諸症状も治まってしまった。

念のためにマスクをして出勤した私に、同僚たちは優しい言葉をかけてくれる。

社会人にもなると体調管理も仕事のうちだと言われるが、うちの社は理解のある方で生理休暇なども認められている。それでも私は滅多に休まないので余程のことだと思われていたらしい。

どちらかというと体より、今はメンタルの方が辛かったりするのだけど。


「高木」


デスクに着くなり、水瀬さんに呼ばれ胸がずきりとした。

目を合わせるのが怖くて、ファイルを掴んでいる長い指に視線を落とす。


「はい」

「体はもういいのか」

「お陰様で良くなりました」


あくまで上司としての、気遣いか。

当たり前だよね。

軽く会釈をして席に戻ろうとしたが、「ちょっと待て」と呼び止められた。


「企画のまとめはどこまで進んだ?」

「え?」

「お前の事だから、どうせ休んでいる間も家でやっていたんだろ? 途中経過でいいから見せてくれ」

「あ、はい」


素直に頷くと、水瀬さんはやっぱりなと微笑する。

それから周りを見渡すようにしながら立ち上がり、「みんなちょっといいか?」と大きな声を出した。



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