王子様とブーランジェール
俺が姿を晒して一言を発した…何か喋ったばかりに、下はお祭り騒ぎとなってしまった。
キャーキャーが止まらない。
ああぁぁっ!何でこうなるんだ!
何も聞いちゃいないのか?それとも宇宙人だから言葉が通じないのか?!
自分が原因でどんどん騒ぎが大きくなっていく。
しかし、こんな目に合ったことがないため、名案、引き出しがない…!
ちきしょう、どうしたら良いんだ!
これはもう、表に出て力付くで…!
と、思い始めた時。
下の女子たちの声が次第に静かになっていく。
視線が全員、正面玄関口だった。
『なぁーにをやっているのかしら?…あなたがた!』
出てきた。出てきたぞ。
またしても、コイツか。
閉じた扇子を手の平で叩いて鳴らしながら、下の女子集団の前に立ちはだかる。
バックには、入道雲そっくりな山田や鈴木さん、金村さんといういつものメンバーたちが。
小笠原麗華と愉快な仲間達…!
ヤツらの登場に、下の女子集団(宇宙人…)はざわざわし始めている。
すると、白ブレザーを着ているサザ女子生が声を発した。
『ち、ちょっと!この子、オガサワラリゾートの社長の娘、麗華嬢じゃないの?!』
『…えっ?!嘘っ!何でここに超セレブが?!』
『ここ、普通の公立高校でしょ?!』
すると、小笠原の高笑いが一層と響いた。
『オホホホ!…尊敬するお姐様を追って、普通のJK生活を楽しみたくて公立高校受験したのですわ!平民の生活、これも社会勉強ですわよ!オホホホ!』
平民の生活…ねえ?
オガサワラリゾート?
あのいつもCMやってるホテル会社か?
ホントにセレブだったのか。
そのセレブ令嬢は、まだ笑っている。
『オホホホ!…まあ、この学校に来て正解でしたわ?楽しいお友達も出来て、素敵な殿方にもお目にかかることが出来て!…と、いう話しはさておいて』
笑うのをやめたセレブ令嬢は、手で扇子を鳴らしながら、その数十人の女子集団の前に出る。
『…あなたがた!』
って、おい!
戦争が起こる予感しかしない!
「お、小笠原、やめろ!」
声を張って制止を試みるが、反応はなく声が届いていないようだ。
始業式のあの騒ぎが、頭に過る。
ちっ…戦争と救急車は勘弁してくれって!
おまえらあぁーっ!!