王子様とブーランジェール




そんなこともあり、放課後。

ホームルームが終るとすぐに、家庭科室へ向かう。

だが。



「…何でおまえもいるわけ?」

「んー?楽しそうだから?」



俺の背後には、理人がくっついて歩いている。

おまえというやつは…野次馬かって。




「悪いがこれは遊びじゃねえっての」

「捜査会議だよ?会議?何?楽しみー」

「………」

遊びじゃねえって言ってんのに、全然聞いてない…。

どうせ物珍しいから着いてきてんだろ?

ちゃんとマジメに部活に出ろ。



結局、理人が着いて歩いたまま家庭科室に到着する。

ドアの向こうは複数の女子の声が聞こえてきていて、何だか騒がしい。

…そういや、この会議、誰が来んの?

いつもの狭山と愉快な仲間達?他にもいるのか?

そんな疑問が過りながらも、家庭科室のドアを開けた。



…えっ。

ドアを開けてビックリ。

そこは、想定外の光景が。



女子生徒…何人いる?

みんな各テーブルについてケータイ見たり、談笑しているが。

ガラッという引き戸の音と共に、登場した俺に、中の女子生徒全員が注目していた。

家庭科室内のテーブルと椅子が埋まってしまうぐらいの人数がそこにはいる。

一クラス分の人数以上いるぞ?!

家庭科室の中にいる女子生徒の人数の多さに圧倒されてしまった。

想像以上だ!



って、まさかこれ。全員、先代ミスターのファンクラブ『残党』のメンバーなのか?!



「あっ!…狭山さん!ミスター竜堂来たよ!狭山さぁーん!」

女子生徒の一人が声をあげる。

「おう、わかった。そろそろ始めるぞ!バカめ!」



声は、黒板として使われているホワイトボードのある教卓の方から聞こえる。

そこには菜月と美梨也とパソコンを覗き込む狭山の姿が。

傍には奈緒美や潤さんもいて、俺達が来室したことに気付いたようだ。

「お、夏輝来た。和田も一緒?」

「すみませーん。ミスターの親友としてご一緒しまーす」

都合の良い言葉だな。親友って。



先程の狭山の『始めるぞ!バカめ!』で、席を立ち、ぞろぞろと教卓の周りに集まってきた女子生徒たち。

狭山がパソコンから離れ、女子生徒たちの前に出てきた。

「全員、揃ってるか?」

「すみません!遅くなりました!」

同時にそこへ滑り込むように、家庭科室に駆け込んでくる女子生徒もいた。


< 512 / 948 >

この作品をシェア

pagetop