王子様とブーランジェール




「…いやだぁーっ!さるぼぼ欲しい!さるぼぼ!」



咲哉、ごね出す。

そして、ターン終了。

やはり、咲哉が一番カードが少ない。



「…何でいつも俺が最下位なんだよぉー!」



咲哉がそう叫ぶと、この場にいる連中全員、失笑した。



ぶっ…な、何で?

常に最下位って、何?!

これ、何のネタ?

天丼しまくっても面白いって、何?!

咲哉、それはある意味才能だぞ?

ゲーム弱すぎの才能。



思わず、みんなと声をあげて笑ってしまう。



「…あははっ。あははは!何だそりゃ!何だそりゃ!」

「あははは!こんなゲーム、常に負けって逆に何でなのかこっちが知りてえ!」

「負け神か!…ぎゃははは!」

「…笑うなぁーっ!…俺は諦めないぞ!さるぼぼも勝利も!欲しがりません勝つまでは!」

「十分欲しがってるべや!振りもネタも!」

「ぎゃははは!」



あー。何か。

すげえ楽しい。

笑って笑って笑いまくってると、何かどうでもいい。

今まで悩んでたこと、どうでもよくなる。



そんなワケで。

このカード争奪すごろくはヒートアップしてしまい。

明くる日も明くる日も続いた。



昼休みになるとすぐに、翔と幸成が教室に迎えに来て。

みんなで秘密の小部屋に向かい、弁当食いながらカード争奪すごろく大会をやる。

みんなで手を回して、咲哉にさるぼぼをゲットさせない。

日常のちょっとした笑い話を挟んで。

咲哉はやはり最下位で。

んで、みんなで大爆笑する。




気が付くと、金曜日で。

土日は部活で。

一週間終わっていた。





週が明けても、カード争奪すごろくはやめられない。

咲哉は未だにさるぼぼをゲット出来ていない。

西郷どんはなぜか毎回ゲット出来るのに。

…もう、わざとだろ?わざと。

それにも関わらず、咲哉はまださるぼぼに固執している。



こんなに笑えることはない。



四時限目終了のチャイムが鳴ると、咲哉は鼻息を荒くしてこっちにやってくる。

陣太も笑いながら後を着いてきた。



「今日こそはさるぼぼ絶対ゲット!そして最下位脱出!」

「西郷どんと最下位はもうネタだろ?いい加減認めろよ。この天丼ヤロー」



秘密の小部屋に移動するべく、席を立つ。

翔と幸成もそのうち来るだろ。



…その時。



その前を、通り過ぎる。



「桃李、早く早くー!ミルキング買いに行くんでしょー?」

「わわわわっ。りみちゃん待って…」



俺の視界に、入ってきた。



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