王子様とブーランジェール
確かに、突然でビックリはしたが。
「…迷惑だなんて思わない。困らない。…だって、マジで嬉しかったから…」
「おき…」
「お気遣いじゃねえ。これは本音だ」
「あ、あぁぁぁ…」
ったく。
悪いが、おまえに対してだけは、そんなに気配り上手じゃねえ。
だから、こんな照れ隠しとかをするというのに。
桃李は、また顔を赤らめて俯いている。
そんな中でも、話の続きをしていた。
「そ、それに…まだ早いと思ったの…」
「…何が」
「うぅ…」
更に俯いてしまった。
何やら恥ずかしそうにしている。
「も、もっと…自分に自信をつけてから言いたかったの…。もっと、夏輝にふさわしいような女の子になってから、言いたかったの…」
「………」
「だ、だから、無しでお願いします…」
(あ…)
たった今。
渾身の不意討ちをくらった。
おかげで、頭が一瞬で真っ白だ。
もっと、夏輝にふさわしいような女の子になってから言いたかったの。
だから…もう少し待って?(←ここは妄想)
…あ、あぁぁぁっ!
なんて…。
なんて、かわいいことを言ってくれるんだ…!
恥ずかしくなってしまい、右の手の平で額と目を覆い隠す。
ヤバい。この娘。
平気でそんな爆弾をも落とすことが出来るのか…!
油断していたとはいえ、核兵器並みの威力だ。
そんな風に、そこまで思われていたなんて。
本当に、何で気付けなかったんだ。
悔やまれるわ。マジで。
「…その自信とやらは、いつになったらつくんだよ」
気を取り直して落ち着いた後、さりげなく問いかける。
…まあ、俺としては、今のおまえでもう十二分過ぎると言いたいけど。
正直、待てない。
自信って何。
俺にふさわしいって…どんな感じ。
「うーんとね…まずは、身長伸ばしてから」
「身長…え、えぇっ?!」
「あと、顔をもうちょっと大人っぽくするの。私、ロリっぽいって言われるから」
「はぁっ?!…整形?!」
「あと、律子さんにお洋服選んでもらうの。モデルさんみたいなカッコいいおしゃれなお洋服」
「………」
え…見た目の話?
な、何で?!
それ、必要?!
そこで、バカぶっ込んでくる必要、ある?!
これも、不意討ちか!
呆れた…!