王子様とブーランジェール
(このっ…)
なぜ、このバカのバカに付き合って話をして。
そんな変態を見るような渋い目で見られなければならない…!
イライラが増し増し…!
「桃李…おまえぇぇっ!!」
「ひぃぃっ!」
久々に、きた。イライラの波が…!
バカのバカ発言にうんざりさせられたのと、変態扱いされたショックで。
ついに抑えきれず、爆発してしまう。
桃李は汚い悲鳴をあげて、更に後退りしていた。
俺は…俺は、変態ではない!
雷劇場の始まり。
「ふざけんなよおまえぇぇっ!…大体、本当にこれから身長が伸びると信じているのかおまえは!…中学2年生になった頃から身長伸びていないだろが!」
「えっ!…あ、で、でも、努力すれば…」
「努力?!…努力ではどうにもならないカテゴリーだとわからないのか!身長が努力でどうにかなるなら、この世の中大男だらけの世界だぞ!地球上はガリバーワールドだ!」
「えっ!の、伸びないの…あぁぁ…」
「はぁ?今頃気付くな!…だいたいおまえの身長6㎝伸びるのはいつだ?そんな伸びるワケもないもの、待ってたら一生を終えるわ!それに、あと6㎝伸びたら何かあるのかぁぁっ!」
「あ、あ…モデルみたいにカッコよく、なれますよ…」
「は?モデルみたいに?カッコよく?…モデルみたくなるのと、俺にふさわしい人間になるのと、何の関係がある!それに、そんな6㎝伸びただけで、モデルみたいになれるのなら、世界のギャル皆ミスユニバースだわ!」
「ユニットバス?」
「風呂じゃねぇぇっ!…それに、整形だとか、服だとか!なぜ見た目から入るんだ!まさか、まさかこの俺が見た目で女を選んでるとか思ってんじゃねえだろな?!」
「え…違うの?」
「…何っ!」
嘘…。
俺、そんな風に思われてたの?
美人な女しか彼女にしない面食いヤローとか、思われてたの…?
それ、だいぶショックなんですけど…。
「………」
「…あれ。夏輝、どうしたの」
ショックのあまり、一気に勢い殺される。
今のでだいぶ傷付いた。
まさか、桃李に…そんな最低ヤローに思われていたなんて。
泣けてくる…。
ガッカリしてしまい、その場で俯いてうなだれる。
しかし、そんな俺の目の前にいる桃李も「あぁぁぁ…」と、ガックリきていた。
何でおまえまでガックリきてるんだ。
泣けてくるのはこっちだよ…。
なぜか二人でガックリきているという、よくわからない図。
「し、身長伸びないのなら、さっきの話はやっぱり無しで…」
「…待てコラァァァ!」