先生。
後ろで待っていてくれる司を置いて、私は先生の方へ足を進めた。
「戻って来いって」
「司のこと1人に出来ません」
「俺は1人でもいいの?」
何言ってんの。
1人じゃないじゃん。
先生には…
「…………あの女がいるでしょ」
「あの人とは、もう会わない」
「…え?」
思わずそんな声が出てしまうけど、その嘘に何度騙されたかわからない。
「もう会わないから、戻ってきてよ」
「嘘だ。まだ好きなくせに…」
私にだって痛いくらいわかる。
好きな人を忘れる大変さ。
簡単には消えてくれない苦しみも。
「好きじゃない。だからお前を利用する必要もない」
そう言われた時、時が止まった気がした。
それは、先生が私を選んだってこと…?