先生。


悪気や故意が無かったとしても、キスをしたのは事実。


先生相手に、否定や嘘はつけない。





「傷つくと思って言えなかった…本当にごめんなさい…」





声を出すたびに込み上がってくる涙を必死に抑え、私は頭を下げた。





「傷付くよ。でも、それを隠されてた方がもっと傷付く」





どうしてこうもすれ違ってしまうんだろう。


なんでうまくいかないのかな…





「ごめんなさい…」





もう謝ることしかできない。


言い訳も何もない。



私はただ、先生とこれからもずっと変わらずにいたいだけだったのに。


先生と幸せになれれば、何もいらないのに…





「…俺が言ったのにな、潤に。普通の高校生になれって」





私の涙が床に落ちた時、苦しそうに先生は笑った。

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