先生。
ソッと呟いたその言葉に、嘘や冷やかしはなかった。
「あの子は、私のたった1人の私の娘なの。潤は嫌がるけどね。だけど…幸せを願うくらい…いいでしょ?」
泣いた顔なんて初めて見たかもしれない。
多分この女は気付いてないんだろうな。
今、母親の顔してるって事。
「ちゃんと母親してんじゃん?潤には伝わってないけどさ」
「それでもいいのよ。少し離れたところであの子を見ていられれば」
本当は怖かったのかもしれない。
潤の幸せを聞いた時に、そこに俺がいなかったらって。
潤の幸せをちゃんと考えてなかったのは、俺だな…きっと。
「私の可愛い娘泣かしたら許さないからね」
そんな言葉にフッと笑って、俺はバーを出た。